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第二百二十四回銀漢北軽井沢句会会報 令和五年十月十一日(水)箱島湧水、水牢吟行 |
水牢あといい日賜はる秋日和 水牢のあとの庭園水の秋 残る虫隣りの堂は菩薩さま 水牢で逝きし人弔ふ赤とんぼ |
柴山つぐ子 |
透明といふも色なり秋の 秋たどる日和の声のあがりけり 竹林に囲まる水牢そぞろ寒 水といふ水ほとばしり木の実時 |
山﨑ちづ子 |
浅間路の匂ひ炊き込む栗ごはん 山さらに深めて野菊ふかれをり 雑魚釣りを楽しと座して秋の川 |
小林 好子 |
源流の水の産声式部の実 滔滔と溢る名水律の風 小鳥来る水牢址の供養塔 神木の根元潤す秋の水 |
佐藤 栄子 |
はじけるを嬉しく待ちぬ椿の実 青柚子や青空になほ深き青 渡されてたじろぐばかり毒茸 不意の風なまぬるきかな柿の秋 |
佐藤かずえ |
赤とんぼ見栄切る音の乾きけり 探しものまだ見つからぬらし秋の蝶 ときどきは破調もありて初ちちろ |
岡田 久男 |
手に受けて飲む湧水や秋海棠 供養塔秋風供花揺らしけり 神木の根より湧く水水引草 水牢や渋柿熟し静かなり |
北川 京子 |
水牢に枯葉舞ひ来て町史跡 満霊供養塔恩師の書に遭ふ柿の秋 竹林の中に一筋岩清水 |
黒岩伊知朗 |
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大杉の色なき風や瀬音道 伝説や湧水の怪鳥渡る 秋爽や清き湧水杉木立 |
佐々木終吉 |
年長の成長分かる運動会 運動会拍手できずに声援す |
佐藤さゆり |
真田の世水責めの跡草紅葉 箱島の稲田支へる名水や 稲供へ水牢脇の薬師堂 |
白井 欽二 |
湧水の水音さわぐ零余子かな 駐車場片隅に咲く水引草 里芋の大きな葉っぱ背伸びする |
武井 康弘 |
踏み込めば紅葉明りの峡部落 新酒汲む一人山家の夕べかな 供ふるは狭庭の終の濃竜胆 |
中島みつる |
読めぬ字の筆圧辿る秋の暮 言葉なく外す表札秋の暮 秋の蝶羽根を止めずに蜜を吸ひ |
山﨑 伸次 |
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湧水や小路に可憐秋海棠 焼秋刀魚路地に広ごる煙かな 鈴生りに枝を傾げて鬼胡桃 |
横沢 宇内 |
★箱島湧水 水牢吟行 きっかけは白井欽二さんの 遠き世の水牢跡や蛍舞ふ の俳句でした。 水牢を見たいと声があがり、今回の吟行となりました。同じ郡内の東吾妻町には何ヶ所かの水牢があるという事で,白石さんの知人の家から歩いて行くとの事、その方の庭も見せていただきました。秋の花々が咲き、かりん、柿がたわわに実り、季語の宝庫のような庭でした。そこから百メートル位歩き水牢があったという場所へ移動しました。泥で埋まり水牢があった形跡はないのですが、少しずつ水が湧き流れ、供養塔が建てられていました。次に池廼薬師と言う水牢に到着し、皆からワーッと声があがりました。当時の様子が分かり、少し空気が変わった気がしました。 箱島湧水は名水百選にも挙げられており、水はやわらかく透明に輝いていました。 昼食後句会をし、それぞれ素敵な句ができ、晩秋をたどる思い出深い一日となりました。(ちづ子) ★句集「つまこい」に寄せて 中川 冬紫子 句集を出されて、そろそろ一年になりますね。感想文と言うことで、再度読み返してみました。「つまこい」句集が世に出た事が、我が事の様に嬉しく、柴山つぐ子と言う女人の人生の集大成が、ぎっしり詰まった素晴らしい句集です。どの句も平明で情に溢れています。好きな句は沢山あります。色褪せぬ夫の恋文秋燈下 恋文もさることながら、この句集も、いつまでも色褪せる事なく読み継がれることでしょう。 ★十一月の句会 十一月八日一時より 兼題 初霜 恵比寿講 切干 |