■天神の灯点す頃や梅八分
■春の雪かすかに届く夕の鐘
■草の戸の闇にはじまる猫の恋
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柴山つぐ子
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■蕗の薹はやも長たる日の表
■浮かれ猫日の甲板を駆けまはる
■立春の風に衣桁の紐いろいろ
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中川冬紫子
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■冴え返る空の明るき宵の村
■御神饌恭しくも春の宵
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岡村妃呂子
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■寒明けの影濃くなれり遠浅間
■切り傷の勲章めける恋の猫
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佐々木終吉
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■寒明けや勤め決まると子の言へり
■節分の鬼に当たらぬように撒く
■蕗のたう摘む手にかほり移すかな
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佐藤かずえ
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■冬花火流星群のごと落ちる
■山国の空にハートや冬花火
■しりとりの輪にゐて足湯春隣
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佐藤さゆり
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■漁夫の手に光る指輪や福は内
■摘みたての和尚の笊に蕗の薹
■薄墨の富士を遠目に猫柳
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小林 好子
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■春の猫あわれ吾仔を敵とする
■蠟梅を一枝かざして友来たる
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小林 尊子
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■凍星やコーラスの声よく響く
■踏み砕く豆の音から春立てり ■観音堂二月の光うすうすと
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山崎ちづ子
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■日溜まりに這ひ附きばりて蕗のたう
■蕗の薹故郷の呼び名ちゃんまいろ
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佐藤 栄子
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■恋猫の頻りと誘ふ作り声
■あさなさな玻璃戸の凍つる暮しむき
■日返しの雪に焼かるる野の仏
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山田 公子
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■豆まきの福のこぼれに鳩の群
■恋猫の野性となりね闇世界
■日溜まりの丈の影もつ蕗の薹
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山田 礁
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■吊り橋の掛る川辺に猫柳
■庭の池緋鯉氷に透けて見ゆ
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黒岩 あきら
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■立山の雪解しずくに野鳥どち
■おだやかな寒明け近し波の音
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上原 妙子
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■句作りに近道はなし冴え返る
■聞き耳を持つ猫とゐて日向ぼこ
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滝沢 咲秀
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■白粥に浅間の芹を刻み込む
■はりつめて雲なき空に雪浅間
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湯本 半才 |
■凍み豆腐日差しを浴びて軽くなり
■湯たんぽのぬくみほんわか朝までも
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鳴釜 和子
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■音高き川辺の岸に蕗の薹
■春の雪猫の足跡直線に
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星野恵美子
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