■堂おぼろ母に買ひたる念珠かな
■水温む川藻のみどり濃くなれり
■串カツの玉葱甘し春しぐれ
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柴山つぐ子
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■水温む画布いっぱいに母の顔
■琉球の武鯛の舞へる春の海
■教会のパイプオルガン吊るし雛
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中川冬紫子
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■啓蟄の暦どうりと言へぬ里
■花の苗黒土恋しと待ちをりし
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岡村妃呂子
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■花霞遠きに仰ぐ浅間山
■海原の匂ひの残る目刺かな
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佐々木終吉
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■物売りの声はっきりと梅見ごろ
■マラソンの人波の向こう春の海
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佐藤かずえ
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■グラバ―邸港一望のどかなり
■犬ふぐり踏み場無きほど墓の径
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佐藤さゆり
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■目刺焼く女巧みな手際かな
■啓蟄や迷ひながらの地下出口
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小林 好子
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■ひねもすを心安らぐ春の雪
■牡丹雪天の使いと言ふ人も
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小林 尊子
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■水温む昨日とちがふ空の色
■さんざめく雛の一座と語りあふ
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山崎ちづ子
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■求めずも心華やぐ雛の市
■行儀よく藁すべにある目刺かな
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佐藤 栄子
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■子ら育ち雛人形も箱を出ず
■丈競ふ土手の土筆に風撫でる
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黒岩 あきら
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■流れゆく音の響きや水温む
■遠き日のはらからの声雛まつり
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上原 妙子
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■水温む三輪の山々息づける
■白連の厚き花びら積りをり
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上原 憲了
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■晩学の机上にこぼす余寒の灯
■目刺噛む苦しき言葉胸に置き
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滝沢 咲秀
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■どか雪に閉じ込めらる日目刺焼く
■いま一度滑りてみたき春の雪
■日差し透くテレビの上の豆雛
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湯本 半才
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■春雷に逃げ場失ふ籠の鳥
■木道のせせらぎのみち坐禅草
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星野恵美子
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