■正調にはいま一歩なり時鳥
■目まとひの一途といふをうとましく
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柴山つぐ子
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■火の山の不気味な黙や走り梅雨
■芒種はや棚田の水のやや濁り
■み吉野の風懐に鮎を食ぶ
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中川冬紫子
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■静寂をたちまち崩すほととぎす
■ひと雨に額紫陽花の色うつる
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岡村妃呂子
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■雨だれの音色ほど良き夏座敷
■若鮎の尾の勢ひや化粧塩
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佐々木終吉
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■薫風や木馬たたずむ山の家
■夏はぜの径に響く瀬音かな
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佐藤かずえ
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■夫被る赤きリボンの夏帽子
■人恋し深山暮しの時鳥 |
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佐藤 栄子
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■蜘蛛の巣に径ふさがれてしまいけり
■郭公の姿無きまま迎えらる
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佐藤さゆり
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■梅雨入りの芥場覗く大鴉
■瀬を速め簗簀の鮎や犀の川
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小林 好子
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■晩学に夜半より続く梅雨の音
■真夜中に声を細めにほととぎす
■初夏や吾子の見舞ひの嬉しかり
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小林 尊子
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■仏壇に風鈴草や母の家
■焼肉の卓にゆらりと小手毬草
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山崎ちづ子
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■梅雨寒に芽を出しかぬる畑のもの
■ほの甘き疲れを癒す田植ぐみ
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鳴釜 和子
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■親逝きて残るものなし夏木立
■青梅雨や傘の絵柄の華やかに
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星野恵美子
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■おとり鮎抱へ千曲の川に立つ
■摘むほどに尚も出て来し葱坊主
■切り株に腰を休めて夏木立
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黒岩 章
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■薄闇に目を遊ばせて蛍追ふ
■昏れてより風に山百合匂ひけり
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上原 妙子
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■紫陽花や雨音刻む石畳
■串くはへ塩を衣に眠り鮎 |
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上原 憲了
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■火の山も六里ガ原も梅雨入りかな
■試歩のみち白樺の絮ただよひ来
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湯本 半才
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■日をまとふ毛鉤を鮎に見透かさる
■風向きの変わりてをりぬ梅雨の牧
■一粒の天泣もなし五月晴
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山田 礁
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■鳥好きの母の遠忌や時鳥
■一条の流れを狭め草茂る |
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山田 鯉公
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