匂ひ濃き浜の干場の屑若布
水皺の寄せゐる小島うす紅梅
鎌倉に鎮魂のごと寒ぼたん
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柴山つぐ子
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この川が県境とや草青む
下萌に始まるパンク修理かな
春愁や要弛びし舞扇
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中川冬紫子
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紅梅や源氏ゆかりの政子石
早春やひと笑ひして句会果つ
貴婦人てふ寒ぼたん人群るる
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小林 好子
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屋根に積む雪のまろやか谷戸日和
雪解水ゆたかな音の始まりぬ
風向きの予期せぬ野火に道ゆずる
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山田 礁
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一区画萌ゆる草ごと買ひゐたり
窓際に残る硬さの余寒かな
下萌て人肌ほどのゆるびかな
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山田 鯉公
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ほつほつと峡路に出づるいぬふぐり
朝戸出の手揉みのしぐさ春は遅遅
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岡村妃呂子
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下萌や子等に託せし夢いくつ
白梅の匂ひ仄かに鳥居まで
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小林 尊子
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駅前といへどきりぎし草青む
白梅の開花の便り風に問ふ
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佐々木終吉
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背負籠をおろす辺りや下萌ゆる
神殿の龍の睨みや春寒し
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佐藤かずえ
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春鴨の水尾の乱るる源氏池
春の海砂を払ゐて句会果つ
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佐藤さゆり
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春の日の古木にやはし日差しかな
春の雪予報外れて旅仕度
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下谷 詔子
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春うらら紅茶に少し苺ジャム
親の目を抜けてはしゃぎぬ梅林
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武井 康弘
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薄日なかレースのやうに雪の舞ふ
雪原にうさぎの跡とりすの跡
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鳴釜 和子
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軒下の槍かと思ふつららかな
雪解水一鍬入れて逃しをり
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星野 恵美子
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冬花火おもちゃの国をとどろかす
春隣円座に遊ぶ子等の声
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山崎ちづ子
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大声に鬼の退散福はうち
火の山の裾にしだるる冬花火
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橫沢 宇内
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