火の山の腹に石楠花おおどかに
深山に風のきままや岩かがみ
奪衣婆の天蓋のごと桜の実
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柴山つぐ子
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初夏の雲に力や相模湾
更衣伊予の絣に旅ごころ
裏山は遺跡の宝庫風薫る
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中川冬紫子
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まろやかに鐘鳴り渡る遠霞
山藤の峠越えして道の駅
松蝉や到着駅に新店舗
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小林 好子
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黒づめる溶岩の山肌夏はじめ
春蝉や土下座のありし御成道
皺寄する谷戸の木影の鯉幟
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山田 礁
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風はこぶ微かな香り桐の花
夏めきて日増し気温の上昇中
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岡村妃呂子
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笹舟を並びて流す夏初め
昇り行く雲雀の声に励まされ
初夏の風誰となく頬を撫づ
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黒岩 章
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雲のごとあちらこちらに山桜
薫風を精一杯に深呼吸
光満つ木々の先まで聖五月
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小林 尊子
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佐々木終吉
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山の子の遊び相手や翁草
細き筆わすれな草の瑠璃描く
初夏や湯けむりの立つ白根山
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佐藤かずえ
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里山や花桃見渡すかぎりかな
浮島へ神橋わたる余花の風
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佐藤さゆり
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山里の風のやさしき初幟
山盛りの山菜づくし夕餉かな
畑へゆく白寿の父へ初つばめ
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下谷 詔子
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高原の初夏の日差しを眩しめる
更衣防虫剤の濃く匂ふ
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武井 康弘
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こでまりの時をゆたかに青つぼみ
匂ふかな開き初めたる花杏
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鳴釜 和子
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小流れに初夏の日射しの煌めけり
山晴れや竹の子飯のおすそわけ
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星野恵美子
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初夏や身重なる子の里帰り
柔らかき色盛り上がる草若葉
寂び色の辛夷大樹や諏訪大社
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山崎ちづ子
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中山道枝垂れ桜の峠越ゆ
石仏の周囲彩る黄水仙
夏の夜のグラス重ねる摩天楼
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橫沢 宇内
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