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2015年 第135回 北軽井沢句会 戻る




第135回 北軽井沢句会  平成27年 (2015年) 

 

平成27年6月10日(水)・11日(木)


「駒ヶ根、伊那方面井月を訪ねて」一泊吟行







『道の駅』奈良井の大橋にて



 

時の日や師のふるさとの水の音
          

先生のふるさと親し青田風

娑羅の木の木漏れ日に座す井月碑

幻はうしろ姿の夏羽織

夏落葉井月句碑の肩に降る

剥落の杉戸絵の鬼梅雨湿り


谷戸深く庵の俳額若葉風
     
夏草や俳傑どこぞ謎めきて

高遠をめぐる吟行街薄暑
  
岩つばめ絵島屋敷にしきりかな
  柴山つぐ子 









 
 

梅雨の晴井月さんの碑を訪はな   

夏落葉やはらかく踏み井月碑 

夏草やどかりと据はる井月碑

ほかひ人偲ぶ碑夏椿

夏がすみ伊那の山背に井月碑

碑は魂のありどこ懸巣鳴く

杉戸絵のこはれし引き手梅雨深し

井月の句を吟じつつ麦の秋

万緑や箱庭めきし奈良井宿






  中川冬紫子 





     
   
井月の終焉の地や梅雨ぐもり
              
下闇や指になぞりし揮豪句碑

井月の歩きし道か山あぢさゐ
            
尼寺の秘仏見し庵黴匂ふ

尼寺の十六羅漢梅雨湿り

木漏れ日の丈を伸ばせし姫女菀

和田峠白くなだるる山法師

奈良井宿千本格子の涼しかり

石仏に彫らるるクルス五月闇


  山田 礁 


  










   
   
        
       


 

紫陽花が車窓賑はす一人旅    


信濃路にいま鈴なりの青林檎


茂る山一気に抜けて奈良井宿


奈良井宿滴る山路抜けてつく


山波に模様を描く栗の花


雪渓を車窓に仰ぐ伊那の旅








黒岩 章
葉桜の木漏れ日やさし光前寺    

心字池蓮の蕾のほつほつと        
 
夏落葉張りつく巨き井月碑


雲の峰権兵衛トンネル長きかな

井月の墓碑に遠足伊那の子ら

夏草や六道堤の井月碑

全てよし千両千両時鳥

蜘蛛の囲のはりし絵島の囲み塀








  小林 尊子 





伊那谷や峰々つなぐ夏の風
             
麦の秋古き農家の千場扱き

伊那の夏酒のしみたる墓碑の文字







  佐々木終吉 
おむすびは山椒の香り出発す


杉の香の参道に湧く泉かな      
             
緑陰の早太郎の碑静もれる

山滴る漣青きダム湖かな

青萩や千本格子の奈良井宿

標識の無き六道の杜青田風

膝丈を超ゆる夏草井月碑

草虱置ひて来やうか井月碑








  佐藤かずえ 
 
早太郎涼しく眠る光前寺
      
山紫陽花行く先々に出会ひけり


初夏の心の癒し神の杜


松蝉の井月句碑に声を張る


石清水ひと杓に足る旅疲れ


梅雨の晴れ奈良井大橋渡りきる









  佐藤さゆり 
新緑や井月句碑を辿る旅
        
桜の実指汚したり光前寺

心字池おたまじゃくしが群れをなす

中山道登り下りの若葉道

夏蓬用水土手にそよぎけり

松落葉絵島屋敷の門古りし

  武井 康弘
 


   


         






 
 
井月の句碑に届きし夏椿
         
いづこにも水音響き青楓

奈良井宿へと向かふ山みち針槐

風鈴にやはらかき風触れてゆく

井月の墓碑にふふみし冷し酒

アルプスを望みし堤夏よもぎ

木曽駒に真向かふ杜の鳴子百合

万緑の谷間埋づむる木々の色








山崎ちづ子







井月の辿りし道や若葉燃ゆ
      
木漏れ日にほのかな明かり光苔

奈良井宿旗を靡かせかき氷

端居して井月句集読みふける

杉戸絵の歴史の重み梅雨の庵

風涼し高遠蕎麦の旨かりき


  橫沢 宇内 








 


北軽井沢句会恒例となった一泊吟行。
百年余の時を経て、今にしてブームの漂泊の俳人井上井月
伊那男主宰を育んだ故郷ということもあり俳縁深き伊那を訪ねる事ができました。
井月が終焉の地と選んだ伊那はやはり素晴らしい処でした。豊かな歴史と自然、水の音、風の音、温かな人情。心に触れる色々を畳み込むように頂きました。伊那ゆかりの皆様には溢れる程のお心使いを有難うございました。



△伊那路の旅                 中川冬紫子
伊那男主宰が昨年暮に出された「漂泊の俳人 井上井月」に
より今、静かな井月ブームが興っている。再度読み返して見ると心惹かれる句が沢山あり井月さんの伊那を歩いてみたくなった。
地元の方の好意的な案内を得て、有意義な吟行会ができた。最後に茅野の駅近くのホテルのレストランでいただいた打ち上げの夕食会の天麩羅の美味しかったこと。素朴な人情と伊那の豊かな自然に深い感動を覚えた。

緑陰にひと肌ほどの井月碑       冬紫子



                             (15.6.15)つ




 伊那一泊吟行記                山崎ちづ子


梅雨入り翌日6月10日、11日の2日旅。朝7時30分。柴山庭を2台の車で出発。新幹線佐久平駅で草加から参加の黒岩章さんを迎える。

一路駒ヶ根の光前寺へ予定どおり10時30分到着。ここで相模原の中川冬紫子同人と合流。柴山つぐ子 山田礁 小林尊子 佐藤かずえ 佐藤さゆり 武井康弘 横沢宇内と総勢10名の参加。


名刹光前寺には(降るとまで人には見せて花曇)の句碑はふっくらと立派。木漏れ日の中を散策.桜は実となってをり幼心を取り戻し皆作句体制に。
昼食は駒ヶ根駅前の「水車」井月ゆかりという昼膳を頂く。店主宮澤さんに井月のお話をいただく。また伊那男先生の父上に(お医者様)お世話になった(部活でフルートを吹いて鼻が痛くなった)話など。昼食後の1回目の句会を夜に変更奈良井宿へと向かう。



権兵衛トンネルを抜けて宿場へ。木曽の大橋は美しい木製の太鼓橋渡ってひと息、ソフトクリームなど絶品。美味しい空気、美しい山々、奈良井川にそって約1キロ日本最長の歴史ある宿場町。


奈良井をあとにして本日の宿泊地ルートインコート伊那に6時着。夕食後8時。近くのガストで席を借りて句会となった。「水車」でコピーして頂いた第1回分10句と2回目分10句の20句句会。額に汗を滲ませながら耳に神経を集めながら、歩き回った1日の疲れも見せず俳句の佳し悪しは別として心を一つにして笑顔と歓声の中に充実の達成感を感じた1日目でした。


ホテルには午後11時。2日目。朝9時に高遠句会幹事の加藤恵介さんがホテルまで来て下さり井月ゆかり吟行のご案内を頂く事に。まことに恐縮。六道の杜(煩悩句碑)お墓では持参のお酒を注ぎ皆で献杯。六道堤では(何処やら、句碑)青田原の畦道に夏蓬が風にゆれ、草虱に取りつかれながらの吟行。そして清水庵へ。住職のお話を聴き井月真筆の俳額、杉戸絵天井絵、十六羅漢像。拝見。(常には無住寺で大野田好記さんのお手配)



いよいよ高遠に。「ますや」の本場高遠蕎麦を味わう。ここで加藤さんと合同句会のお約束をして別れる。
城址公園、絵島屋敷など薄暑の中を歩く。絵島屋敷の塀ごしに紫のつゆ草が可憐。3回目句会は図書館で、高遠句会の三溝恵子さんにお世話になりました。亀という城下町らしいお菓子の差し入れを頂き感動するやら、疲れがとれるやら。更に嬉しい事に私達の住む嬬恋村に関わる古文書と言うか絵地図のような古記録など拝見し、お心使いの数々を感謝。



井月ゆかり吟行でしたが伊那男先生はじめ伊那ゆかりの皆様にすっかり甘える事となり伊那人の人情に触れ井月の胸の灯かりが解る吟行となりました。関係の皆様に心からのお礼を申しあげます。









『漂白の俳人』井上井月の世界へご案内します。





△放浪と絆/現代人の共感/井上井月(1822−1886)

翌日しらぬ身の楽しみや花に酒

△酒が好きで『千両・千両』と語るのが口癖だった・・。

2015/4/4  読売夕刊版

△PDFへリンクします。




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 3点の 画像上で拡大します。



△井月は、人生の残り三十年余を上伊那で過ごした俳人です。


井上井月顕彰会へリンクします。もっと知ろう。井月の世界へ・・。
  
映画『ほかいびと 伊那の井月(せいげつ)』予告編
NHK・朝ドラ出演/舞踏家­で、『メゾン・ド・ヒミコ』や『八日目の蝉』などで俳優としても活躍する田中泯。美し­い伊那の自然を背景につづられる、伝説の俳人の数奇な人生に圧倒される。


2015/6/18  更新



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