時の日や師のふるさとの水の音
先生のふるさと親し青田風
娑羅の木の木漏れ日に座す井月碑
幻はうしろ姿の夏羽織
夏落葉井月句碑の肩に降る
剥落の杉戸絵の鬼梅雨湿り
谷戸深く庵の俳額若葉風
夏草や俳傑どこぞ謎めきて
高遠をめぐる吟行街薄暑
岩つばめ絵島屋敷にしきりかな |
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柴山つぐ子
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梅雨の晴井月さんの碑を訪はな
夏落葉やはらかく踏み井月碑
夏草やどかりと据はる井月碑
ほかひ人偲ぶ碑夏椿
夏がすみ伊那の山背に井月碑
碑は魂のありどこ懸巣鳴く
杉戸絵のこはれし引き手梅雨深し
井月の句を吟じつつ麦の秋
万緑や箱庭めきし奈良井宿
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中川冬紫子
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井月の終焉の地や梅雨ぐもり
下闇や指になぞりし揮豪句碑
井月の歩きし道か山あぢさゐ
尼寺の秘仏見し庵黴匂ふ
尼寺の十六羅漢梅雨湿り
木漏れ日の丈を伸ばせし姫女菀
和田峠白くなだるる山法師
奈良井宿千本格子の涼しかり
石仏に彫らるるクルス五月闇
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山田 礁
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紫陽花が車窓賑はす一人旅
信濃路にいま鈴なりの青林檎
茂る山一気に抜けて奈良井宿
奈良井宿滴る山路抜けてつく
山波に模様を描く栗の花
雪渓を車窓に仰ぐ伊那の旅
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黒岩 章
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葉桜の木漏れ日やさし光前寺
心字池蓮の蕾のほつほつと
夏落葉張りつく巨き井月碑
雲の峰権兵衛トンネル長きかな
井月の墓碑に遠足伊那の子ら
夏草や六道堤の井月碑
全てよし千両千両時鳥
蜘蛛の囲のはりし絵島の囲み塀
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小林 尊子
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伊那谷や峰々つなぐ夏の風
麦の秋古き農家の千場扱き
伊那の夏酒のしみたる墓碑の文字
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佐々木終吉
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おむすびは山椒の香り出発す
杉の香の参道に湧く泉かな
緑陰の早太郎の碑静もれる
山滴る漣青きダム湖かな
青萩や千本格子の奈良井宿
標識の無き六道の杜青田風
膝丈を超ゆる夏草井月碑
草虱置ひて来やうか井月碑
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佐藤かずえ
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早太郎涼しく眠る光前寺
山紫陽花行く先々に出会ひけり
初夏の心の癒し神の杜
松蝉の井月句碑に声を張る
石清水ひと杓に足る旅疲れ
梅雨の晴れ奈良井大橋渡りきる
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佐藤さゆり
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新緑や井月句碑を辿る旅
桜の実指汚したり光前寺
心字池おたまじゃくしが群れをなす
中山道登り下りの若葉道
夏蓬用水土手にそよぎけり
松落葉絵島屋敷の門古りし
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武井 康弘
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井月の句碑に届きし夏椿
いづこにも水音響き青楓
奈良井宿へと向かふ山みち針槐
風鈴にやはらかき風触れてゆく
井月の墓碑にふふみし冷し酒
アルプスを望みし堤夏よもぎ
木曽駒に真向かふ杜の鳴子百合
万緑の谷間埋づむる木々の色
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山崎ちづ子
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井月の辿りし道や若葉燃ゆ
木漏れ日にほのかな明かり光苔
奈良井宿旗を靡かせかき氷
端居して井月句集読みふける
杉戸絵の歴史の重み梅雨の庵
風涼し高遠蕎麦の旨かりき
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橫沢 宇内
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