標高1.100Mの夏/天然クーラーの世界へ・・・!
浅間山
心眼でやつぱり見えぬ西瓜割
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△ 田助西瓜・外は真っ黒・中は真っ赤
水田の転作作物として田を助ける「田助」。
当時は、水田の転作が始まり、稲の代わりに何かないものかと模索していた時でもあり、稲の代わりにすいかを植え「田を助ける」という「田助」の二つの由来がありました |
丹精の西瓜子を抱くやうに来る
一息に掘る馬鈴薯の一家族
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第5回柴山山荘句会の記録
日時:平成28年7月31日(日)17時〜20時
場所:嬬恋村・柴山山荘。
出席者:伊藤伊那男、武田禪次、武田花果、大野田井蛙、谷口いづみ、阪西敦子(ホトトギス)、中野智子、今井麦、森羽久衣、、柴山つぐ子、小林好子、岡村妃呂子、岡田久男(投句)、小林尊子、山崎ちづ子、佐藤栄子、佐藤かずえ、佐藤さゆり、山田礁、武井康弘、横沢宇内、佐藤すずえ(ゲスト)佐々木終吉。焼き方(内田さん・土屋さん)の皆様。
△5句出し6句選
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伊藤伊那男
つ3 一息に掘る馬鈴薯の一家族
花7 心眼でやつぱり見えぬ西瓜割
花禪1 出荷するキャベツの一個師団ほど
3 笑ひ声あちこちに湧き避暑の家
1 雷神とおぼしき雲が浅間嶺に
柴山つぐ子
伊花2 はたた神上州ぶりも語り草
禪1 二番子も混じる一陣夏つばめ
禪 俳諧のえにしに集ひ夏惜しむ
2 火の山の里になだるる松明草
武田花果
伊 白シャツの二人乗り自転車軽井沢
伊 中空の雲を払ひて田草取
伊禪2 雲の峰そびらに火山観測所
3 雲の峰分水嶺へ頭出す
武田禪次
伊1 ソフトクリーム浅間嶺の雲ほどけくる
つ1 浮雲の晩夏の光のせて来る
花2 百重なる青嶺青嶺の信濃かな
3 松明草北軽衆の句座燃ゆる
今井 麦
伊つ1 缶麦酒次々開けよ山の家
伊花2 大ダリア咲く来客の多き家
1 緑陰や肉焼く煙にぎやかに
1 肉また肉合間の鎌原胡瓜かな
大野田井蛙
花禪5 青蜥蜴来て道譲る師の身軽
1 佐久平目の高さなる雲の峰
岡田久男
伊 師を迎へ松明草の燃え盛る
岡村妃呂子
伊つ4 山荘のかしぎのけぶり晩夏かな
1 片蔭のテントの中へ座ほしめる
1 蜩や今がさかりと合唱会
小林好子
花 立札の肩に待ちをり道をしへ
2 濃淡の緑溢るる夏館
3 炎天に踏み入る影をひきしめり
2 流れ水くるりくるりと西瓜浮く
阪西敦子
伊2 有耶無耶に開け再会の缶ビール
佐々木終吉
伊 馬鈴薯や隠れしままの数幾つ
つ禪2 虎尾草星屑集め草の庵
1 松明草揺るる一群熾火めく
1 夏句会加へしもはや歳ひとつ
佐藤栄子
伊花禪1 出迎へはいつもの笑顔避暑の家
1 山荘の洋灯に集ふ火取虫
2 一匹へ群がる子等や兜虫
2 師を迎へ奏でる虫のコンサート
佐藤かずえ
伊 父母の住む山家の明かり星月夜
2 山百合や鉱山ありし村に咲く
1 父の背に連山青く夏の雲
武井康弘
1 初茄子は程よく焼きし夕餉かな
谷口いづみ
伊 女王めきポンポンダリア睥睨す
つ 当りらしジャガイモ掘れば子沢山
禪 1 浅間嶺に腰を据へむと雲の峰
1 たいまつ草待てど暮らせど来ぬ夕立
中野智子
伊つ1 朝涼の草鉄砲を子に孫に
伊禪2 風に沿ひ水音に沿ひ百合香る
禪4 丹精の西瓜子を抱くやうに来る
1 ひまわりを仏花に仰ぎ山の句座
森 羽久衣
花1 あしからず瓜に南と北のあり
花 歯の奥のたうもろこしの名残かな
1 夏野菜の皿と笑顔の溢れけり
1 夏の灯のここぞいよいよ灯しけり
山アちづ子
つ1 実を結ぶ青山椒に日照雨
3 夏草の覆ひ重なる石の道
1 夏空へ弾ませ握る海苔むすび
2 夏蝶をたたせてしまふ溶岩の原
山田 礁
1 土用芽に火食の一夜煙らしぬ
1 師を囲み夏の一と日をかがづらふ
1 落し文未完のままにたゆたへり
横沢宇内
2 山小屋や辺り一面松明草
無名子
1 じやが芋掘りへつびり腰の夏帽子
〜選者〜
伊 … 伊藤伊那男 つ … 柴山つぐ子
花 … 武田花果 禪 … 武田禪次
【句会雑感】
「こもろ・日盛俳句祭」のメインイベントは何と言っても北軽句会のみなさんとの句会であろう。
小諸から車で小一時間。夕方5時近くに北軽井沢の地を踏むと、月並みな表現だが「別世界」。さわやかな高原の風が心地よく、これぞ夏休みといった感じである。山荘前のダリアの顔が大きく紅潮している。
つぐ子山荘に到着し最初に渡されたものは、何とスコップ。いきなり新じゃがの収穫が始まる。みんなでじゃがいも家族を十家族ほど救出する。
労をねぎらいながら、庭のテーブルに着席すると、これが噂のバーベキューか・・・酒池肉林の桃源郷、と私の知っている中国の古い熟語が頭を駆け抜ける。
そんなところへ禪次編集長から「六時出句締め切り、五句出し!」とどこからか。締め切りを大幅に超えて出句した者約一名(その節は大変ご迷惑お掛けいたしました、私のことです)がおり、日没のころようやく句会が始まった。
「そういえば、雨降らないね」とあちこちから声があがる。そう、この句会、雨が毎年恒例とのこと。それもゲリラ豪雨並の雨らしい。すごい。その中でも粛々と句会は進行するが、清記用紙が回り終える頃遠くでやはりゴロゴロし始める。「遠雷」ってやつか。そして披講が始まるとその音がどんどん近く、かつ頻回になる。幸い雨も降らずつつがなく、というか帰りの時間となったため句会は終了。小諸からの部隊は横沢さん、武井さんの車に分乗し軽井沢駅へ向かうが、しばらく走ったところでゲリラ豪雨に見舞われた。やはり雨は私たちのことを忘れてはいなかった。
最後に、本当につぐ子さんはじめ北軽句会のみなさま、熱いおもてなしをありがとうございました。来年はちゃんと舞台衣装一式お持ちいたしますのでよろしくお願いいたします。
(以上 森 羽久衣作成)
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2016/8/10 句会々員・佐々木終吉制作
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