生れたてのみどり溶けゐる若葉雨
若鮎に百選の水跳ねあがる
土まみれ匂ひまみれや筍掘る
火の山の裾野埋むる若みどり
母の日の母の言の葉吾も子に
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柴山つぐ子
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娘も母となり母の日のカーネーション
青鷺の広げし羽根や羽黒谷
蟻穴を出てお百度石巡る
畑人に佐保姫の振る袖の風
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中川冬紫子
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つばくらめ真田父子の蟄居跡
春燈や読経みなぎる高野山
吹流し紀の川色をながしけり
湖にさざ波少し若葉風
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小林 好子
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天ざかる鄙去り難し朴の花
団欒や山女の釣果破風に洩る
麦笛や風にかにつり草そよぐ
十二単庭に咲かせて雅かな
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山田 礁
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茗荷竹刻むリズムに妻の癖
禍はあまねく背負ふと亀の鳴く
滴りのかそけき音や石だたみ
寝仏の二つ三つ見ゆ二度上峠
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岡田 久男
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わくら葉の網目模様を透かしけり
母の日や彼の世の人を懐かしむ
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岡村妃呂子
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鶯を待てど来たのは雀かな
お茶受けは葉ごと楽しむ桜餅
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黒岩 章
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母の日に届く大きなダンボール
対岸の雪渓映るダム湖かな
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小林 尊子
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母の日や年に数度の子の便り
花いちご幼の髪の飾りかな
被り物飛びさうな風夏の畑
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佐藤かずえ
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老鶯の豊かに響く母の家
若葉風母待つ家に急ぎけり
竹の子の藪の往復一輪車
子供の日びくともしない力石
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佐藤さゆり
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母の日や若きその日のうす化粧
夏場所や時間いっぱい仁王立ち
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佐々木終吉
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母の日の偲ぶ遺影の色褪し
健やかに青葉の風や子らの声
風鈴の一つ動けば風遊ぶ
口数の少なき友と冷し酒
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武井 康弘
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夕暮れの山路を急ぐ親子雉
峠みち色どり淡し藤の花
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星野恵美子
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ダムとなる村の廃屋渓若葉
聴き役となりし母の日小半日
鯉幟絡まり合うて風を待つ
折り紙の兜を子らに子供の日
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山崎ちづ子
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風色が昨日と違ふ立夏かな
列島を駆け抜けるかに桜かな
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橫沢うだい
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