北軽に昔の駅舎鰯雲
浅間嶺の寝姿うるわし秋日和
悠久の湖のさざ波秋ふかむ
外皮を脱げばはんなり衣被
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柴山つぐ子
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秋霖や戦火くぐりし松大樹
風音の御茶壺蔵跡猫じゃらし
桜紅葉みな城濠へ傾ぎたる
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中川冬紫子
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発言の議員の胸の赤い羽根
花すすき鎌倉古道趣を添へる
薄紅葉山並み走る雲の影
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小林 好子
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おほかたは庭へ出揃ひ草の花
讃美歌の洩るる中庭天高し
千草添へ吾が老犬をはふりけり
老犬の屍を抱く夜の長し
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山田 礁
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はかどらぬ老の雑事や木の実降る
藪枯らし曳けばずるずる地底まで
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岡田 久男
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かすかなる風も知らせり風知草
落葉舞ふ雑木林に風の道
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黒岩 章
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永別の兄の笑顔や吾亦紅
故郷を失くせし吾に鮭戻る
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小林 尊子
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烏瓜木々を渡りて色深む
猫じゃらし群舞のごとき風捉ふ |
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佐々木終吉
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ひとまはり大きく見ゆるけらつつき
鳴く鹿に出会いがしらや在所みち
肩ごしに赤き木の実の見え隠る
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佐藤かずえ
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秋空をジェット機の音故郷へ
朝寒や旨さ加ははるミルク呑む
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武井 康弘
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熱々の咽をとほりし衣被
稲雀群れ遊びしてやって来し
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星野恵美子
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刈り手あり運ぶ手もあり田刈りかな
塩味の加減ほどほど零余子飯
糸曳くを愛でて旨さの衣被
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山崎ちづ子
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子も孫も一家総出の田刈りかな
天高しようやく晴れの続くなり
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横沢うだい
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