お手利きと呼ばれし母の針納め
嬬恋村の底無き闇や鬼やらひ
穏やかに繭ごもるごと春障子
大小に寝転びし跡犬ふぐり
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柴山つぐ子
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針供養手仕事好きな母なりし
寒波また高速船の潮けぶり
老犬の毛玉削ぎやる四温かな
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中川冬紫子
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福豆の枡あたたかく構えたり
水仙の怒涛の一日暮れにけり
白魚の黒目重なる白小鉢
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小林 好子
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ぱらぱらと闇に内気の年の豆
悼 英人八回忌
君の忌や雪の白紙に豆こぼる
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山田 礁
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ともかくも生きて八十路の追儺かな 「
残り火のかまどに撒かる鬼やらひ
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岡田 久男
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針まつり母の指ぬき光りをり
回覧板隣りに回す追儺の夜
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岡村妃呂子
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潔く音立てて散る玉椿
寒明けの流れに映す太鼓橋
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黒岩 章
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針箱に母の思い出針供養
亡兄の豆炒る姿鬼やらひ
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小林 尊子
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使われぬ母の形見や針供養
節分会どよめきの渦豆躍る
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佐々木終吉
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シャンプーの花のかほりや春浅し
春遅々の胸に緑のペンダント
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佐藤かずえ |
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春うらら渦巻き状の香をたく
天井絵仰ぐ夫婦に梅びより |
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佐藤さゆり
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付け替える胸のボタンや針供養
春寒や見渡す限り陽の光
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武井 康弘
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湯島 新年会
心足るひと日となりし梅の花
福を乞うはちきれさうな恵方巻き
久々の裁縫箱や納め針
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山崎ちづ子
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背筋伸ぶ湯島の梅は五分咲きに
朝の日を赤く透かして軒つらら
山鳥が番ひでわたる冬田みち
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横沢うだい
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