野いばらの花のかほりの通せんぼ
見張り役あるらし夜のつばめの巣
一番子嫁に出すごと親つばめ
握らせて貰ふ蛙や力石
千年の水面に息吹水すまし
かたばみのはみ出す黒塀蔵の街
権現の墓所に声張る鴉の子
百千鳥千年杉の間合より
蔦若葉坂下門にうひうひし
みどりにも色々ありて奥日光
吠ゆと言ふ笑ふと言はる吹割滝
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柴山つぐ子
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我家へと幸せ来たり燕の巣
浅間山畦の小川に花藻かな
吹割れの早瀬の音に岩燕
夏霧に怒涛の響き華厳滝
山帽子良き縁願い二荒山
麦秋の原に立ちをる大鳥居
連山の川に鮎釣る太公望
梅雨晴れの学童の声響きけり
白樺の梢そよがせ薄暑かな
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河上 和子
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岩つばめ水をくぐりて飛び立てり
岩肌のなめらかなるや吹割滝
麦秋の刈取殻の煙立つ
熟れ麦の刈り取り早ししもつけ郷
畑の色パッチワークめく植田かな
小梨咲く戦場ケ原の丸木橋
神々の戦ひ後や柳絮舞ふ
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小林 尊子
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吊り橋を渡る坂道風知草
ポケットにそっと一輪桷の花
池に垂る室の八嶋の四葩かな
龍の玉室の八嶋のお社に
夏霧のしだいに深しいろは坂
小梨咲く戦場が原うす曇り
水脈起つや八嶋の池の水馬
引き寄するひと枝軽き針槐樹
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佐藤かずえ
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鮎釣りの腰まで浸かり川の中
バスの旅代田に映す雲の影
神木の枝にくちなわとぐろ巻く
室の八嶋蛙飛び付く力石
八池にあめんぼう浮く真昼どき
小梨咲く戦場が原の風そよぐ
華厳滝身も奮ひ立つ夏吟行
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武井 康弘
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石楠花を裾へと広げ浅間山
神木の太き走り根薄暑かな
木漏れ日の光集めし藤の豆
例幣使通ひし街道五月闇
真言を唱えて潜る茅の輪かな
さざ波に中禅寺湖や山つつじ
水音を近くに聞きし遅桜
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山崎ちづ子
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はからずも茅の輪潜りの八嶋かな
麦秋の原を駆け抜け下野道
風光る日暮らしの門眺めゐる
小梨咲く戦場が原風わたる
湿原は大蛇伝説柳絮舞ふ
湖からの昇る夏霧男体山
鬼怒川の吊り橋揺るる梅雨の晴
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横沢うだい
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★欠席投句
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擦り抜ける華厳の滝に岩燕
万緑や光さまよう濡れ瓦
仏法僧山風いつか眠りたる
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小林 好子
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青嵐七堂伽藍浄めけり
田水張る奥に白山かがやけり
島かける能登の夕陽や古茶啜る
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岡田 久男
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子ら遊ぶこ高き丘に走り梅雨
夏帽子外に出てすぐに飛ばさるる
花柚子の少しの風に匂ひけり
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岡村妃呂子
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夏きざす四百年の時の声
夏木立匠の技の眠り猫
唐門の弓なり屋根や夏つばめ
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佐々木終吉
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新緑や龍の迎へる陽明門
万緑に力を貰ふひとり旅
青岬岩屋に拝す芭蕉句碑 |
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佐藤さゆり
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