波郷碑のうす暗がりに月を待つ
月明り白夜の庭となりにけり
独り居の気ままが剥ける山の栗
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柴山つぐ子
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里寺に銀杏黄葉や信濃晴
看護士は励まし上手木の葉髪
たどり読む奥の細道破芭蕉
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小林 好子
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擂鉢にのの字のの字のとろろ汁
とろろ汁いの一番を仏へと
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山田 礁
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母の擂る音なつかしやとろろ汁
かな文字の細き流れや櫨もみじ
耳朶の秋の蚊払ふおねりかな
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岡田 久男
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名月や雲切れを待つ叉楽し
深秋や夫と友の眼快方へ
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岡村妃呂子
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縁側に座してひとりの月見かな
山あひの旅籠の馳走とろろ汁
柞紅葉足どり軽く一人占め
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河上 和子
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秋日和夫婦寄添ふ湖畔かな
鰯雲笑顔百人エキストラ
名月や今宵は拗ねて雲の中
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黒岩 一郎
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こだわりの麦のかほりのとろろ汁
幼き日父の自慢のとろろ汁
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黒岩 茂子
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自然薯掘り二日がかりとなりにけり
近づけばパラパラ落つる零余子かな
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小林 尊子
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金風や無心の如く櫂を漕ぐ
溝蕎麦や金平糖の散る如し
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佐々木終吉
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長雨に泣きべそづらの案山子翁
道草にじゃれあふ子らの草虱
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佐藤 栄子
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真夜中に届くメールや夜業の子
目が合ひて鼬飛び出す農具小屋
キコキコと近づく小舟秋麗
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佐藤かずえ
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竜胆の癒し送らる花セラピー
天高し幸せ運ぶ笑顔かな
秋晴の婚の賑はひリボンシャワー
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佐藤さゆり
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秋の夜やワイン傾けワルツ聞く
初紅葉一羽の雀飛び立てり
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武井 康弘
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村の名を残す朱の橋初紅葉
草紅葉日だまりあふる道祖神
田畑に子を抱く案山子風やさし
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山崎ちづ子
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渓谷の水面に映ゆる紅葉かな
黄昏に噴煙染むる秋夕焼
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横沢うだい
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