午後の陽の移れば早も底冷えす
毛の国の名高き風や十二月
足踏みて白寿の祖母の晦日蕎麦
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柴山つぐ子
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石垣の岩にも齢笹子鳴く
冬帽子ショートした脳包みこむ
紅の雲の帯捲き山眠る
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小林 好子
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咳払ひ吾が声のふと母に似て
着ぶくれて村の鎮守へ赴けり
神仏器用に生きむクリスマス
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山田 礁
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濁り川けふは清らな聖樹の灯
老の身を晒したるま々枯芙蓉
空欄の多き日々悔ゆ古日記
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岡田 久男
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クリスマス住民揃ひ飾り付け
義兄の愛柚子贈られて湯に浮かす
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岡村妃呂子
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歳と皺また一つ増ゆ年始め
裸木の木の間に白き浅間山
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河上 和子
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縁台に枯葉のたまるへぼ将棋
塀際を苔庭にして日向ぼこ
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黒岩 章
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おきりこみレジに一輪冬桜
十二月八日若人の祈り礎に
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黒岩伊知朗
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ジングルベル淋しく祝ふ老ひ二人
北の旅スーパームーン炬燵より
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黒岩 茂子
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スケジュール表満杯となり十二月
暮早しトンネル抜けて村明かり
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小林 尊子
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飾り灯のトナカイ駆ける街聖夜
人生の波紋の多き十二月
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佐々木終吉
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クリスマスカードの青の輝ける
冬晴や玉子の黄味の濃き黄色
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佐藤かずえ
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四温かな手作り揃ふ御食ひ初め
日本海けふ穏やかに冬の旅
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佐藤さゆり
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電飾の心の躍る十二月
初雪やはるか故郷便りかな
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武井 康弘
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小切りして冬至南瓜を母の家
餡を煮る楽しみのある十二月
聞き上手微笑む人の冬帽子
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山崎ちづ子
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裸木の山に夕陽の沈むとき
凍雲の上に日の射す浅間山
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横沢うだい
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