伸び豊か薔薇のつぼみの子沢山
洗ひてもなほ蕗の渋太宰の忌
蕗煮ゆる丸ごと山家匂いけり
一茶翁喜びさうな九輪草
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柴山つぐ子
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短夜や馴染ぬままの旅枕
無住寺を密かに守り蟻地獄
あちこちに感嘆の声花菖蒲
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小林 好子
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明易や寝返り打てば鳥の声
鳥声の山家の至福明易し
頂きし名字もうれしさくらんぼ
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山田 礁
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一皿を囲みてふふむさくらんぼ
蟻地獄またぎて三界法塔へ
短夜や天窓わずか開けしまま
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岡田 久男
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短夜の寝付けぬ窓辺薄明り
砂の山隠れ虫待つ蟻地獄
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岡村妃呂子
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父の日や記念写真と盃かわす
古民家の縁の下には蟻地獄
食卓にレースをかけてさくらんぼ
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河上 和子
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祈願祭祝詞にあはす雨蛙
しばらくは烏賊火のゆるる佐渡の海
風薫る小木の港の盥舟
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黒岩伊知朗
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初蝉の静寂を破るお昼どき
友を待つ若葉の先の寝観音
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黒岩 しげ子
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ハスカップ母と語らふ実の重さ
梅雨の間のジャム作りにて農休み
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小林 尊子
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さくらんぼ桐箱整列艶めけり
黒南風や涅槃像めく大浅間
田植終ふ家族総出の夕餉かな
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佐々木終吉
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万緑や出で湯溢るる河鹿川
源泉を覗く伊香保の夏はじめ |
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佐藤 栄子
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びわの実をしずくとともにいただきぬ
美しき罠を仕掛けり蟻地獄
青梅雨や雨のかほりを楽しめり
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佐藤かずえ
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夏祭り嬬恋音頭弾むやう
若き日の父の植樹のさくらんぼ
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佐藤さゆり
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皿に盛りしばし眺むるさくらんぼ
もがくほど落ち込むやうや蟻地獄
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武井 康弘
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蟻地獄囲みし子らの声高し
つまみ上げ鈴振るやうにさくらんぼ
柵を越へ道行く人に薔薇雫
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山崎ちづ子
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早乙女の昼を呼ぶ声木魂して
自転車道夏草勢ひ増しにけり
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横沢 宇内
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