草津湯にはらから集ふ小春の日
守り札買ひたる堂や初しぐれ
噴煙は寝息か浅間眠り初む
閉店の村のよろづ屋枇杷の花
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柴山つぐ子
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小春日の旧軽銀座堪能す
きらきらと魚釣り上ぐる時雨かな
冬初め年相応のグレーヘヤ―
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中川冬紫子
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すきまなく洗濯干され冬日和
気落ちして両手を組めば小鳥来る
大根煮るちよつとの箸の穴見つけ
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小林 好子
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ぱつくりと通草の熟れて山日和
神留守や開けつ放しの岩扉
青年の拳上ぐ指揮天高し
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佐藤 栄子
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黄落の並木に鈍き老の試歩
大根干す母何故に軍手かな
銀杏黄や明治座に列吸ひ込まる
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岡田 久男
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柿落葉色を変へては散りにけり
風もなく秋夕焼けの輝けり
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岡村妃呂子
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初時雨ヘットライトに光る道
新調の手袋を手に通学児
立冬や浅間山の夕日濃く淡く
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黒岩伊知朗
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信濃路のそば屋の暖簾初時雨
冬菊の手折りて父の仏前に
角砂糖のほどける速さ冬夕焼け
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黒岩 清子
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ちゅんちゅんと雀騒がし霜の朝
小春日に猫も一緒に背伸する
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黒岩 茂子
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小春日の陽を受けている浅間山
不揃ひの片手で持てぬ大大根
雲厚きこれより先は初時雨
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小林 尊子
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初時雨浅間和讃や灯のともる
穭田や一反といふ青さかな
土の香や母逝きし味大根煮る
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佐々木終吉
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杖の音辿れば父のゐる小春
初時雨ダム往来の人の波
木枯しやいく度夜の窓を打つ
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佐藤かずえ
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秋の虹未来に向かふ即位礼
紅葉の体硬まるロープウェイ
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佐藤さゆり
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師と共にひねる発句に散る落葉
落葉掃く手許休めて句をひねる
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佐藤洋一郎
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朝採れの大根並ぶ無人棚
朴落葉足を滑らす高尾山
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武井 康弘
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湯気たてる玉こんにゃくの味噌自慢
幼らの遊びきりなく木の実落つ
息をのむ嵐のあとや翁の忌
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山﨑ちづ子
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木枯しが猫の額に吹き荒るる
賑はひの夕餉に上る新豆腐 |
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横沢 宇内
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