つ4 隠れん坊のやうにどこかに茗荷の子
つ8 嬬恋をひと暴れして仕舞梅雨
つ3 立葵浅間の風に斜め立ち
2 唐黍を食み零したる旅愁かな
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伊藤伊那男
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◎2 嬬恋村の名のある碑文木下闇
1 句まつりの果の端居や縁かな
1 日ねもすを虫籠の中蝉しぐれ
1 虚子翁の好みの紫苑育ちゐる
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柴山つぐ子
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◎つ4 訪ねきて沙羅のつぼみを数へけり
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天野小石
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◎2 夏の灯の光を増してゆく夕べ
◎ キャベツ生るまるで掌閉ぢるかに
1 歓迎の笑顔と共にビール干す
1 例年の如き雷雨に遭ひにけり
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伊藤政三
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◎ 鬼押出の熱さますかに大夕立
3 夏霧の裾長く引く浅間山
3 子は育ち庭木は繁る露涼し
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今井 麦
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3 浅間山へと一直線なる雲の峰
2 日雷鳴りてやつぱり雨来る
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大野田井蛙
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◎2 まひまひやけふの予定の捗らず
4 「ようこそ」と松明草の燃え立てり
1 桑の実にくちびる染めし裸の児
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岡田久男
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つ1 縁側に一鉢青きトマトかな
1 松明草師の庭夏の風物詩
3 踏まれても踏まれてもなほ蛇苺
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黒岩伊知朗
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つ 涙雨山居に揺るる花ぎぼし
1 無風の風受けて微睡む青蜥蜴
1 猪も遠見に山家薯畑
1 客迎へ一夜賑わひナツツバキ
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黒岩清子
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1 再会の別荘の庭灯台草
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黒岩茂子
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◎つ3 夏蝶となり嬬恋へひとつ飛び
◎2 あの人へあの子へと捥ぐ夏野菜
つ1 山小屋にいつもの顔の夏休み
2 台風を先触れとして主宰来る
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こしだまほ
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1 高がいも然れどこだわり芋の花
1 梅雨の間の障子に映る月明り
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小林尊子
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◎つ5 夏料理一句を記す箸袋
◎2 恙無き風の吹くまま落し文
1 新涼の草に濡れきしスニーカー
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小林好子
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◎ 師を迎ふ年重ねつつ夏館
◎ 熾火めく松明草や暮れなずむ
1 蚊遣火や句座たけなは煙満つ
1 夏椿経る時忘れ咲く一輪
2 在所の灯消え入りさふな大浅間
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佐々木終吉
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◎1 もてなしの彼や是やと夏料理
◎ 森林浴の道ゆき止る避暑の家
◎2 涼風や遺影見守る句座の席
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佐藤栄子
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◎2 高原の風を跳ね上げとらの尾草
つ1 蚊遣火や宝探しの如置かれ
3 背ナの荷をさつと下ろせり夏句会
1 朝顔のつるを伝ふる雨のつぶ
2 鳴りさうで鳴らぬ風鈴風を待つ
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佐藤かずえ
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つ 山の家観音守るダリアかな
2 松明草力みなぎる山句会
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佐藤さゆり
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1 山百合を一輪瓶に挿して見る
1 めうがの子力果てなく甦る
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武井康弘
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1 老鶯や深き瀬音の千曲川
2 夏霧の晴れて小諸の山近し
2 夏の空近き浅間の低き雲
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田中 道
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◎4 蚊遣火も取り皿に乗せ山家の餐
◎つ6 来なければ来ぬでさみしき大夕立
◎2 いま留守の鳥の巣箱も避暑の家
◎3 水引草いまだ結べぬほどの丈
2 ランタンも篝火草も点しをり
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谷口いづみ
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4 今日こそは梅雨明けといふ空の色
1 齧るもの浮かせ振舞水の桶
1 朝顔の蔓を這はせてより蕾む
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戸矢一斗
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2 七日目のラジオ体操蟬盛ん
1 二十センチばかりの蚯蚓伸び伸びと
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中野智子
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◎1 日盛の径を縫ひ来て嬬恋に
1 夕べより一寸伸びたる夏いんげん
4 マドンナは今もマドンナ夏館
5 夕暮れて見えざる水の音涼し
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松代展枝
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◎ 曇りなき玻璃戸の端に端居して
1 露涼しひかりのあぶく閉ぢこめて
2 夜半からの雨吸ひあげて立つ青嶺
2 再会の熱き抱擁夏館
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森羽久衣
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◎つ1 鉢となるワインの樽や紫蘇あふる
つ2 長靴の並ぶ軒下じやがを掘る
2 賑やかが好きな師なりし松明草
2 様々な啼き声包む夏木立
1 山百合やたじろぐ風のその中に
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山崎ちづ子
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つ2 雨男つひに嵐を持ち込めり
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山田 礁
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◎ 出迎へは首を傾げてダリアかな
1 木の幹をつかむ空蝉落しけり
1 釣鐘草茎も重みで曲がりけり
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横沢宇内
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森羽久衣/今井 麦 作成
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