陶雛に山家にぎはふ雛の唄
かたづ飲む一瞬にして野火走る
利休忌や葉の艶ややかに白椿
春の夢も一度母に会いたくて
|
|
柴山つぐ子
|
|
|
|
影法師大きく立てる紙雛
指ですく春潮の香の乱れ髪
子らの声弾む夜更けの春休み
|
|
小林 好子
|
|
|
|
春禽やほころびそめし畑の土
反芻の牛のまなこや風光る
独り身のハ十路の友や雛飾る
|
|
佐藤 栄子
|
ひとつずつ太陽孕みシャボン玉
紙雛せめてあられを炒りにけり
ままごとの皿もスプーンも春落葉
|
|
岡田 久男
|
雛人形ことしは何故か寂しそう
春休み右も左もマスク顔
そよ風にそれぞれの夢しゃぼん玉
|
|
岡村妃呂子
|
悪妻も童に返る初節句
娘はいくつ雛もおなじに年重ね
松の肌春一番の花の寺
|
|
黒岩伊知朗
|
浅間嶺を仰ぎて父の墓詣で
ふらここや夕焼けこやけの村の鐘
石割の松の根方のいぬふぐり
|
|
黒岩 清子
|
|
|
|
子らと行く北の大地へ春休み
千体の雛の世界へ迷い込む
しゃぼん玉廻る地球儀と空の青
|
|
小林 尊子
|
子らの声日差し明るき雛祭り
花こぶし打ち始めなり鋤きの音
お手前の所作も緩やか花の昼
|
|
佐々木終吉
|
夕暮れのはらりと青き春の月
涅槃西風ぬかるみに日の煌めけり
山笑ふ見慣れぬ猫のひとつ飛び
|
|
佐藤かずえ
|
春光や幾度と祝われ誕生会
春の昼夫との絆あかい糸
春泥の足を取られて転びけり
|
|
佐藤さゆり
|
縁日に虹色なびくしゃぼん玉
猫が追ふ子らが噴き出すしゃぼん玉
子らの声飛び交ふ公園春休み」
|
|
山﨑 信次
|
ひな祭若き日の母偲びけり
冴え返る風に笹の葉踊りけり
春場所やコロナウイルス憎みけり
|
|
武井 康弘
|
|
|
|
兄らしく本よむ声の春休み
白椿卒寿の母を想いをり
陽炎の山並み遙か消えゆきて
|
|
山﨑ちづ子
|
寒戻る樹々のすきまを青き空
白魚や江戸前ネタになりにけり
昼下がり堀を啄ばむ残り鴨
|
|
横沢 宇内
|
|
|
|
|
|
|