歯触りのよろしき豌豆頂きぬ
短夜のほのぼのあくる気配かな
夜蛙の声をかぎりの歌合戦
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柴山つぐ子
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短夜や女どちらの和の続く
花栗や木漏れ日揺るる小布施みち
殉教の十字架雨の蔦青し
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小林 好子
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高原の郭公の声透きとほる
空のみち風を平らに夏つばめ
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佐藤 栄子
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夏草やちびつこどもの鬼ごつこ
垂直に咲き登りけり立葵
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岡田 久男
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短夜のあけゆく速さ鳥の声
夏つばめ口いつぱいに虫くはへ
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岡村妃呂子
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夏つばめ低空飛行の山の朝
山の風強く優しく夏に入る
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黒岩伊知朗
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白南風や白き産着の蝶むすび
万緑に四十九日の経を読む
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黒岩 清子
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出入り自由農家の留守の夏つばめ
梅雨前のそよ風うまし畑仕事
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小林 尊子
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短夜の父の形見や時止まる
花栗の匂ふかたはら子らの声
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佐々木終吉
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ぼうたんの開きかけたる夜明けかな
鈴蘭の鳴るやもしれぬ密やかに
抽斗の絵筆並べる走り梅雨
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佐藤かずえ
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豌豆や竿にからみて生き生きと
短夜や夢のつづきをさがしけり
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武井 康弘
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こごまりて子らのつま先蟻ごかな
倒れ木のもとより芽吹く柳かな
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山﨑 伸次
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白牡丹切るを迷ひて小半日
まるまると豌豆の粒見へてをり
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山﨑ちづ子
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万緑や空へ空へと漲れり
豌豆の空に伸び行く蔓の先
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横沢 宇内
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