落栗の一茶旧居の屋根に降る
草津湯に一日遊びて栗の飯
登りゆく寄生木紅葉紅の濃し
銀杏のぽたぽた落ちて匂ひます
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柴山つぐ子
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里山の空青々と栗拾ひ
冬支度鉢植えの物囲ひけり
高層の窓霧深し紅葉の香
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小林 好子
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雲よぎる尾瀬の池塘や草紅葉
納屋の戸を繕ふ父や冬支度
洋菓子に栗どんとすえカフェテラス
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佐藤 栄子
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地下足袋のつま先で剥ぐ栗拾ひ
渋皮剥ぐ母の包丁栗の飯
一坪の花屋千草に埋もれけり
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岡田 久男
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久方の晴天まぶし晩稲刈る
朝晩の気温の落差冬支度
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岡村妃呂子
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踏み込めば熊の糞あり山ぶどう
栗拾ひ日課にしたる母は亡き
秋晴や母の顔した雲ありて
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黒岩伊知朗
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秋の夜や半眼稚の菩薩顔
いが栗やきやんと飛び退く仔犬かな
豊の秋キヤベツ畑の獣道
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黒岩 清子
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秋雨に街の光の舗道橋
中秋の光輝き世を照す
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小林 尊子
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栗ぽつり限界集落木戸軋む
一両の七人掛けや薄紅葉
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佐々木終吉
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栗拾ふ背に山栗のまた落つる
背負籠の母と歩くや豊の秋
これほどに旅のかばんの草虱
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佐藤かずえ
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小刻みに路面をぬらす秋時雨
渡り鳥みるみる小さくどこまでも
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武井 康弘
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冬瓜の種だけ残る山の畑
豊年や見下す里は黄金色
秋の暮谷間の小屋に煙立つ
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山﨑 伸次
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ことことと煮上がる気配山の栗
傾きもいつしか揃ふ秋桜
銀杏のたわわに実る社かな
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山﨑ちづ子
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夕陽受け映画のやうな花芒
手習いのピアノ講座や秋の夜
栗ごはんわっぱに詰めて昼餉かな
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横沢 宇内
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